草とどう付き合うかは、自然農を楽しく展開してゆくうえで、とても大事なことです。
僕の畑は、イネ科の牧草が優勢で、もちろんセイタカアワダチソウやヨモギ、スギナなどの宿根草もたくさん生えています。
これらの草草に対して、「畝上のイネ科の草は抜く」とか「宿根草は抜く」とか、あらかじめ決めておいて作業するのはとても骨の折れることです。
例えば、今の時期(6月初旬)イネ科の牧草は穂をたれ、種を地面に降ろそうとして、自ら倒れたがっていますので、抜く必要も、刈る必要もありません。
写真にあるトマトとトウモロコシ以外の牧草は、皆、押し倒しただけです。これでいいのです。これで十分に育ちます。
いや、このほうがいいのです。
刈ってから敷くと、残った株からひこばえがどんどん出てきて、日照を阻害しますし、夏草もたくさん生えてきます。
押し倒された冬の牧草たちはゆっくりゆっくり枯れて朽ちてゆきますので、長くじっくり、次の作物を育てる養分になってくれます。
なぜ、トマトとトウモロコシの畝は刈ってあるのかというと、トマトは足元の風通しが悪いと、病気になる確率が高いように感じるからです。さらに定植した時期にはまだ牧草たちの穂が十分に垂れていなかったので、刈り取っています。
このように、時期と作物に応じて、草との付き合い方は変わってきます。
写真にあるカボチャやスイカの周りにあるセイタカアワダチソウやヨモギも、定植する際、足元の宿根だけ取り除き、あとは残しておきます。
このほうがいいのです。
セイタカアワダチソウなどは主に乾燥の激しいやせた土地に群生します。
背が高くなるおかげで夏の日差しが地面まで届かず、さらにマットのように広かる宿根が土地からの水分蒸発を防いでくれます。冬になり地上部が枯れると、太い茎はなかなか朽ちることがなく、次の年の夏場まで地面を覆ってくれます。
そしてそれらの残渣は、膨大な量の有機物をその土地に残してくれるのです。
5年、6年と経過してゆくと、地面が肥え始めます。するとセイタカアワダチソウの茎には真っ赤なアブラムシがたくさんつくようになります。勢いが落ち始めます。
今僕の畑では、セイタカアワダチソウとセンダン草が交代し始めています。センダン草も種がたくさん衣服につくので嫌われ者ですが、この草の根や茎もたいへん太く、その残渣は一気に土地を肥やしてくれます。一年草なので、宿根を取り除いてから定植する手間はなくなりつつあります。
そのうち、さらに背の低い草に移行することが予想されます。
どの草にも、生えてくる理由があります。
そしてその草が持つ特定の役目を終えると次の草へと移行してゆきます。
草との付き合い方で大切なことは、
「農夫である私は従者なのだ」
という気持ちを忘れないことです。
季節、作物、土地の様子、自分の体調に合わせて、その時々の「今」に従い作業を決定してゆきます。
(2017/6/3 愛媛県 山岡亨さんのFacebookより承諾を得て転載)
経験談のご投稿は 投稿フォーム から、お願いいたします。