・ジャンボタニシとの付き合い方

3年前より川口由一さんの田んぼでも姿が見え始め、年々数を増しているジャンボタニシ。

その繁殖力や旺盛な食欲には目を見張るものがあり、はびこっている地域で慣行農法でのお米作りをされている農家の皆さんからは目の敵にされているような生き物です。

 

でも、全ての命を敵としない自然農ではジャンボタニシも例外ではなくて、上手に付き合えさえすれば、夏の草刈りをずいぶんと助けてもらえるありがたい存在です。

 

 

ちなみに、僕の田んぼは自然農で作り始めて17年になりますが、僕の地域では20年くらい前から姿が見られるようになっていたため、うちでは最初の年からの付き合いです。

 

さて、うちの田んぼでの付き合い方の一例をご紹介しましょう。

 

【1】まず、春の種下ろしから田植えまでの苗床での育苗期間は全く気に掛ける必要がありません。ジャンボタニシは冬の間は土の中に潜りこんで越冬しているようです。

 

【2】次に、田植えの際の方法です。

  1. 田植えの1週間くらい前、田んぼの全面の草を一度刈り倒してから水を入れます。水を入れると地中に潜っていたジャンボタニシも出て来てそろそろと活動を始めます。
  2. 田植えの日の朝、もしくは前日に田植えをする部分の草を丁寧に刈ります。
    お天気の具合でこの時水が多いようでしたら、一旦水を落としてから刈った方が楽にできます。田植えの2日目以降はそれはできませんが。
  3. 通常通りの田植えをします。
    ※ 田植えをする直前に2回目の草刈りをするというのがジャンボタニシ君の力を最大限に発揮してもらうためのポイントです。

 

【3】水の管理

田植えの後、ジャンボタニシがしっかり活動できるように、植えた早苗の株元が浸かるくらい十分に水を入れます。

ただし、あまり深水にしすぎて、刈った草が完全に水に沈んでしまっている状態だと、植えたばかりの早苗がジャンボタニシの食害を受けてしまうので、程よい水管理が必要です。

したがって、場所によって高低差がないような田んぼに整えておくことが前提条件です。

(とはいっても、広い田んぼだとなかなか高低差をなくすのは難しいかもしれません。そんな場合は、時間をかけて整えられてください。)

なお、うちでも、田植えの直後に思いがけず大雨が降って深水になってしまい、食害を受けたことが何回かありました(*´▽`*)

夏の間の水管理がうまく出来ると、夏の間に一度も草刈りをしなくてもいい所も現れます。

うちの場合は5畝の田んぼの三分の二くらいの広さの部分が草刈りをしなくて済んだ年が何年かありました。

 

なお、川口由一さんも言われているように、ジャンボタニシは見られるようになった初期の頃はどんどん増えていきますが、際限なく増えていくということはなさそうです。

うちでも、去年あたりから少し落ち着いて(減って?)きているようで、数年前には前述の通り夏の草刈りが必要でないところも半分以上ありましたが、今年は上記のような作り方をしても全面草刈りに入る必要がありました。

 

それでも、一度草刈りをして水を程よく入れて管理すると、夏の終わりには足元に草の姿が見えなくなってしまうくらいジャンボタニシの食欲は旺盛です。

自然農の田んぼで、稲の株の足元に草の姿が見えないのはちょっと淋しい感じがしないでもないですが(*´▽`*)

 

 

それでは、ジャンボタニシのいる地域の皆さんは上手に付き合われてくださいね(^◇^)

 

※ なお、もとより気を付けられているとは思いますが、まだジャンボタニシが見られない地域の皆さんは、くれぐれも持ち込むことがないようにお気遣いをされてください。

(一番可能性として考えられるのは、ジャンボタニシがいる地域で育てられた早苗を貰って来て植え付けをすることです。)

自然農では敵とならない生き物であっても、慣行農法でのお米作りにとっては害を及ぼす生き物とされてしまいます。不必要なトラブルを招く原因ともなりかねませんので、ご注意をm(__)m (2016/9/25 和歌山県 勇惣 浩生さん投稿)

 ※ご本人様のご承諾をいただいた上で、お名前を掲載しています。

 

編集者(さとう)ジャンボタニシがお米の苗を食べずに、それ以外の草を食べるように調整すれば、稲が食害を受けることも無いし、田んぼの草刈りが楽になって有り難い面もあるというお話しですね。そして、そのポイントは「水管理」だということですね。

 

勇惣さん、更に理解を深めたいので、いくつか質問をさせてください。

 

質問1:具体的な水加減は、「植えた早苗の株元が浸かるくらい十分に。それでいて、刈った草が完全に水に沈んでしまわない位」ということなのですが、これは、「ジャンボタニシは水面付近で活動するため、刈った草が水面付近に来るような水位にする」という理解で良いのでしょうか?

答え:ジャンボタニシは水中でもさかんに活動していますが、水面から早苗しか出ていない場合は、そちらを優先して食べるような感じがしています。植えたばかりの早苗はまだ柔らかいからだと思います。分げつが始まっているようなしっかりした苗はそれほど食べられない感じです。

 

―なるほど。難しく考えなくても、深過ぎず、でも極端に浅過ぎず…という、普通の水加減で良さそうですね。

 

質問2:「田植えをする直前に2回目の草刈りをするというのがジャンボタニシ君の力を最大限に発揮してもらうためのポイント」とのことですが、直前に草を刈った方が良いのは何故ですか?

答え:1回目に草を刈ってから田植えをするまでの間にも草が伸びるので、その新しく伸びた分を田植えの直前に刈った方が、田植え後早苗が活着して草刈りに入るまでの草の生育が押さえられる。

 

質問3:水加減をうまく保つことができたとして、食欲旺盛なジャンボタニシがお米以外の草も食べるけれど、お米の苗も食べる…ということにならないのは何故なのでしょうか?

答え:何故なんでしょうね。早苗といえどもお米の茎の方が、新しく伸びようとする草の新芽より硬いということでしょうか。ちなみに、うちの場合、キシュウスズメノヒエは可能な限り刈ったものを溝の所に出していますが、水中や水際の葉や新芽は食べますが、軸は硬いのか少し残すような感じになることが多いです。

 

―ありがとうございました。

 

スクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)
スクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)
ショッキングピンク色の卵
ショッキングピンク色の卵

 

編集記ジャンボタニシを観察する機会が、しばしばあるのですが、その生命力はとても強いのだなあ…と感じます。食欲旺盛で、繁殖力も強いので数が増えていくし、卵の色が何故かショッキングピンクだし、なんとなく圧倒されてしまいますが、恐れることは無いのですね。

 耕したり、完全に除草してしまえば敵になりかねないジャンボタニシですが、問題にならない在り方があるのですね。

 私たちの応用の元となる、一つの貴重な体験談を皆様へお届けしたくて、勇惣さんに投稿をリクエストしたところ、快くお答えいただきました。

 

 多様な体験談が2つ、3つ…と集まりますと、更に見えてくるものがあると思います。また違ったお話はございませんか? ご投稿をお待ちしております。(2016/10/18)

 

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