・クモヘリカメムシによる被害(解決数:2)

問題:クモヘリカメムシが3年連続で大発生し、お米が2年間(2010~2011年)全滅。3年目(2012年)も、晩生種の緑米以外は、ほとんど実りませんでした。クモヘリカメムシは、出穂から結実までの間、稲穂についてお米の汁を吸います。

 田んぼの面積は3.5畝。場所は三重県の山間地で、標高約160メートルの川沿いの土地。私たちが田んぼを切り開く前は15年以上耕作放棄されていたところで、当初はチガヤ・ススキ・セイタカアワダチソウ等が繁茂していました。年間最高気温は33度、最低気温は-3度くらい。田んぼの耕作土は20センチ程度と浅く、土質は砂っぽく石が多く、水は溜まりにくいです。水は沢からホースで引いており、水温は低め、水は綺麗です。周囲には、笹薮、雑木林、杉林等もあります。

稲穂に吸い付くクモヘリカメムシたち
稲穂に吸い付くクモヘリカメムシたち

 どれ位の大発生かというと上の写真のとおりですが、やむをえず開花時期に田んぼに入り、1匹1匹手で捕殺するということをした場合、朝に数百匹捕殺して殆ど居なくなるが、夕方にはまたどこからか現れるので数百匹捕殺し、翌朝にはまた数百匹現れ稲穂にびっしり吸い付いている……ということが続く状態です。

 

クモヘリカメムシについて:

 「ホソヘリカメムシ科。体長15~17ミリ。細長い体をしている。

 体は緑、翅は茶色、長めの触角がある。稲科の植物を好んで吸汁する。

 冬は杉林や竹林などの足元で越冬し、その越冬成虫が5月下旬から6月初旬に出てきて子どもを産み、1シーズンで、第1世代、第2世代、第3世代まで増え続ける」

 

 

 ここで田んぼをはじめて3年目(2012年)の8月、三重県の農業普及委員会の方に田んぼを見ていただく機会がありました。クモヘリカメムシについて伺ったお話は、以下のとおりです。

 「クモヘリカメムシは、大型で繁殖力が強い。今ここでは優先種になっている」

 「クモヘリカメムシは、飛行能力がとても高く、数百メートルくらい移動できる。また、数キロくらいは1世代2世代と世代交代をしながら移動できる」

 「クモヘリカメムシの越冬場所は、杉林や竹藪の足元等が多い」

 「クモヘリカメムシ1匹が1日に吸う米粒は5粒くらい」

 「クモヘリカメムシは、もち米よりも、うるち米の方が好き」

 「クモヘリカメムシが好む条件…湿気、日蔭、風通しの悪いところ、雨天、中山間地」

 「クモヘリカメムシが好まない条件…乾燥、日向、風通しの良いところ、晴天、平野地」

 「クモヘリカメムシは、お米の匂いに寄ってくる。風の強い日は、花の匂いが分散されるので寄って来にくい」

 「クモヘリカメムシは、お米よりも、柔らかくて吸いやすいチガヤ、カヤツリグサ、エノコログサ、メヒシバ等の方が好きなので、お米の花が咲く頃にイネ科の雑草を周りに生やしておく方が、お米に集中しにくい。ただし、お米の花が咲く前には、少しでもイネ科の雑草を抑える方が、クモヘリカメムシが増えにくい」

 「20年前から委員をやっているが、その頃もカメムシはいた。いろいろなカメムシが昔からいたが、農薬散布をするようになってから一時減ってはいた。最近は、農薬に対して抵抗力のあるカメムシも増えてきている」

 

解決1【お米の品種での対応】観察したところ、うちの場合、クモヘリカメムシ大発生のピークは、毎年8月中旬~9月中旬頃だということが分かりました。

 そこで、4年目(2013年)と5年目(2014年)は、その時期に出穂~開花交配~結実の営みをする中生種を避け、9月以降に出穂する晩生種(緑米・紫黒苑・名前の分からない赤米。すべて餅米)のみにしぼって栽培したところ、大きな被害をふせぐことができ、それなりの収穫ができました。クモヘリカメムシは、増減はあるものの5年連続で大発生しましたが、発生のピーク時期を避けた品種を選ぶことで、それなりに対応できることが分かりました。

 このことは、場所が違えば、また虫の種類が違えば、大発生のピーク時期も変わってきますので、その土地で大発生している虫のピークを知り、その時期を避けた品種で対応するということになると思います。

 ただ、うちの田んぼは山間地で水は冷たく日照時間も短いので、晩生のお米を育てるには少々厳しい環境です。クモヘリカメムシが永遠に大発生し続けることはないと思っていますので、今後様子を見てカメムシが減るようなら、中生種に戻したい思いを持ちつつの対応です。

 また、古代米ばかりではなく普通のうるち米も食べたいので、6年目(2015年)の今年は、晩生種のうるち米を試みています。

 

解決2【畦草の高刈り】:ある雑誌に紹介されていた「高刈りでカメムシが減る」という記事を読んでから、この方法を取り入れています。

 田んぼの周囲の草を地際から徹底的に刈ってしまうと、カメムシの好きなイネ科の雑草が優先的に茂りやすくなります。生長点が茎の先端にある広葉植物は、地際で刈ると枯れてしまいますが、生長点が株元にあるイネ科の植物は、刈られてもすぐに再生するからです。高刈りにする(草を根元から5~10センチ残して刈る)ことによって、広葉の草や地面を這って伸びる被覆性の草も生き残り、植物の種類が増え、イネ科だらけになるのを防ぐことができます。

 これは、草を高めにざっと刈るというだけのことなので大変ではなく、むしろ楽な方法です。この刈り方で、確実にカメムシが減っているかどうかは分かりませんが、草刈り後の草の生え方が変わるという手応えは感じています。地際から草を刈らないことで、小動物の棲家を奪うことがなく、その場の生命活動を大きく壊すこともなく、柔らかい草も増え、全体が少しずつ豊かになっているように思います。バランスのとれた栽培に適した土地になっていくことで、クモヘリカメムシという1種類の虫の大発生を防ぐことにも繋がればと願っています。(以上すべて、2015/9/29 三重県 佐藤美佳子さん投稿)

 

編集記クモヘリカメムシは、山間地や、川の近くで発生しやすいようですね。せっかく実ろうとしているお米が全滅するのですから深刻です。全滅までいかずとも、収量が減ったり、斑点米となり品質が落ちることがあると聞きます。

 近年、大発生しているのは、三重県、和歌山県……他には? 被害状況だけでも良いので、どうか、多くの皆様の体験談をお寄せください。(2015/12/27)